セブ島のクライミングイベント ラスト・フォー・ライム

英語で書くと LUST for Lime。

LASTじゃなくってLUSTのほうね。
意味は 強い願望 とか 渇き とか。
だから言葉の意味としては「石灰岩への渇望」みたいな意味合いになる。

毎年10月の最終日曜から11月の最初の日曜までの8日間で行われる
セブ島のクライミングフェスティバルのこと。

フェスと言っても出店がでるわけでもなく、
コンサートが行われるわけでもない。
ようはフィリピン中からロッククライマーが集まって、
一緒に登りましょうというだけのクライミング・イベントだ。
どっちかというとフィリピン・クライマーズミーティングの方が
内容的にはしっくりくるかもしれない。

初めて行われたのが2004年なので、
すでに15回以上の開催をしている。
もっともその頃は別の名称だったのだが。

なんでこの時期に行われるかというと、
この週が全国的に祝日、休日になるからなのだ。

10月31日はキリスト圏でのハロウィンにあたる。
日本ではハロウィンというと仮想パーティーみたいな
イメージがあるらしいけど、キリスト教では死者の魂に祈る日。
イブにあたる31日がハロウィンで
戻ってくる魂を迎える日なわけだ。

11月1日はAll Saint's Day 聖人の日(成人の日ではない)

11月2日はAll Souls Day 死者の魂の日

日本でいうところとお盆だと思ってもらえば分かりやすい。
だから31日から2日はみんな墓参りに行く。
霊園も24時間開放しているところが多くて、
先祖の墓の前で一家で夜を明かす人も多い。

墓地に泊まるなんて恐くないのかって?
それがまったく恐くない。
だって人だらけだもの。
墓地中、そこらじゅうに人がいるし、座ったり横になったりしてる。

それに、ここはフィリピンだぜ。
3人集まりゃ酒飲んで宴会だし、
5人になれば音楽に合わせて踊り出すし、
一晩中、墓地がゲラゲラと笑い声であふれるわけだ。

そんなわけで10月31日、11月1日、2日の3休日に
前後の土日をくっつけて日本のゴールデンウィークのように
1週間の大型連休になるわけだ。


この期間にセブ島のトレドに集まってクライマーみんなで登りましょう。
ってのがイベントの趣旨のわけ。

たまたま日本でもその時期は祝日が重なるので
セブ島を訪れる観光客も多く、
つまりは私も繁忙期で忙しく、
1週間も泊まり込みで登れるわけじゃないが、
過去10年以上、毎年少なくとも2~3日は参加するようにしている。

この時だけ、1年に1回だけしか会えないクライマーも多い。
だから私にとっても重要で大切なイベントだ。

日本ではマイナースポーツから脱却しつつあるクライミングも
ここフィリピンではまだニッチこの上ない遊び。
同好の士はまだ全国的にもそんなに多くない。
いつもの自分たちの岩場に100人を超えるクライマーが集まるのは
ローカルとして嬉しい限り。

岩場資源としてのポテンシャルは高いと思われるフィリピンだが、
整備された岩場はまだまだ少なく、
特にマニラ首都圏からはまともに登れる岩場までかなり距離がある
そのため普段はジムで登っているクライマーたちも
トレーニングの成果を試すためにセブに集まってくるのだ。

このイベントの面白いところは、
最初は出身地ごとにグループになって登っているが、
そのうちにメンバーの移動が行われてくる。
昨日までの知らない人とビレイしあうようになる。

考えてみれば同じルートに挑戦しているってことは
実力的に同じくらいになるはずだ。
同じところで落ちてれば、お互いに攻略法を語り出すだろう。
こうしてライバルになり友人になる。

なんとか相手より先に登れるようになりたい。

でも、仮に先に登られてしまったとしても決して相手を嫌ったりしない。
相手の成功を喜び、そして祝福してあげられる文化がクライミングにある。

野球にしろサッカーにしろ多くのスポーツは勝ち負けがある。
自分が勝てば相手は負け
自分が負ければ相手が勝つ。
引き分け以外は必ずシーソーはどちらかが上になることになる。
勝ち負けを越えた友情というのは存在するだろうが、
勝負事には勝者と敗者が生まれる。

クライミングのいいところは両方が勝者になれるところだろう。
先を越された。でもその動きを真似たら自分も登れた。
どちらもが勝者だ。敗者はいない。
競技とは違う喜びがここにはある。

ラストフォーライムは国境や出身地を越えてクライマーが
繋がることのできる貴重なイベントだ。

さて、イベント内容だが
日中は特に催しが行われるわけではない。
カンタバコとポオッグに分かれて思い思いに登るだけ。
課題にチャレンジしてもいいし、
簡単なのを登ってもいい。

登らずにずっと話をしてるだけのやつもいる。
連登で疲れてるのかもしれないけど、
大きな理由は夜更かしだ。

フィリピン人が50人も100人も集まって
夜の間じっとしているわけがない。
日が暮れてからが本番なのだ。

期間中の1晩くらいは親睦会という感じで
参加者全員で夕食になるのだが、
それ以外は毎晩が宴会、パーティーになる。
信じらんないくらいの量のビールが毎晩消費される。

イベントそのものにスポンサーがいくつかあるので
賞品や景品が用意されゲームなんかが頻繁に行われ
勝ったやつも負けたやつも何か賞品がもらえたりする。

夜が更けてくると音が大きく光が激しくなりクラブ状態になる。
私のような40代には徹夜は厳しいので
日付が変わるくらいには撤収するようにしているが、
それでも日が暮れてから6時間は飲んでいる。ほぼ泥酔状態だ。
翌日はケロッと登っているやつもいるが
おおかたはノックアウト状態にいる。

言い訳のような、口実のような話だが、
このイベントのそもそもの成り立ちは
15年前の同じ時期にポオッグとカンタバコの
ルート開拓のためにクライマーが集まって
毎晩飲み明かしたことに発祥と由来がある。
なので酒を飲むのが正式なルールとも言える。

ちなみにカンタバコには同名の
Lust for limeというルートがある。
5.13cということで誰でも気軽に取り組めるルートではないが
このイベントに敬意を表して命名されているので
自信のある方は挑戦してはどうか。

いちおうイベントには参加料があり、
年によって異なるがだいたい1,000円くらいが相場だ。
これにパーティー代、食事代が含まれていて
記念Tシャツがもらえるので高くはないだろう。

期間中の1日参加だけでも全然かまわないのだが、
夜がメインのイベントなのでできれば宿泊して参加するのが良いと思う。

イベントのページを貼っておく。興味のある人はのぞいてみてほしい。

https://www.facebook.com/lustforlime/


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プロフィール

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Author:cebuclimbing
大野 直樹
トラベル・クライミング・サポーター
セブ島在住20年でセブ島をスミからスミまで歩く。
仕事と家庭ともにメインの言語はセブ語、文化風習にも明るい。
クライミング10年、フィリピンの岩事情を最もよく知る日本人。
また観光業のエキスパートとして旅行とクライミングの両方の側面から
最適なプランを提案できます。
ちなみに3児の父。

Contact: +63-917-814-6988

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